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細身のカーゴパンツ (軍パン) はスリムなシルエットで現代人にも着こなしやすいミリタリーアイテム


Photo by heddels.com

実物でも履きやすいカーゴパンツは存在する

カーゴパンツといえば貨物船で働く労働者たちの作業服がルーツだそうで、その利便性に目をつけたアメリカ軍が採用したことで各国の軍隊にも軍パンとして広まりました。

現在のカーゴパンツのデザインを確立させたのがM-51戦闘用ズボンという非常にワイドなシルエットなので、かなりカジュアルな印象を受けますがヨーロッパで発展したカーゴパンツはまた一味違います。

ヨーロッパの軍隊が採用していたカーゴパンツはアメリカ軍に比べてスリムなシルエットで、若干テーパードもかかり現代人にも着こなしやすいデザインが多いです。

使われている生地も丈夫なモールスキンだったり、光沢感のあるサテンで上品さを兼ね備えていたりと、どちらが良い悪いではなく所変われば服の特徴がこれだけ変わるという事です。

軍物なら何でも良いかと言えば必ずしもそうではなく、現代の美的感覚からズレ過ぎると変に浮いてしまうので、何十年経っても通用するデザインの軍物には非常に価値があります。

近年ミリタリーアイテムが人気になり、新たに生産されることもないので価格が高騰しています。

美品ならまだしもデッドストックとなるとすでに入手が困難な状態になっています。

アメリカ軍の王道ミリタリーの人気に比べるとヨーロッパはそこまで需要がありませんでしたが、すでに掘り尽くされたであろうアメリカン・ミリタリーからフレンチ・ミリタリーなどへ触手を伸ばすのも自然な流れです。

個人的には野暮ったさ控えめで洗練されたヨーロッパの軍物が好きなので、あまり掘り尽くさないで欲しいですが、いつかはアメリカのような状態になってしまうことは避けられないでしょう。

軍物には1920~1930年代の服が普通に残っているので、100年前に作られた服を着るというのはそれだけ歴史を肌で感じられるということです。

衣食住において100年前に建てられた家に住むだとリフォームしても日本では珍しく、100年前に作られた食べ物や飲み物もせいぜいヴィンテージワインのような古酒を味わう程度でしょう。

服なら新品だろうと古着だろうと着てしまえば同じなので、そこにこれまでの歴史が息づいているという凄さが古着にはあります。

昔の服だから今の服よりすべてにおいて劣っているということはなく、むしろ今の服に失われてしまったものを有していることの方が多いです。

1980~1990年代にかけてハイテク化を目前にして、それに抗うような至宝のカーゴパンツが登場するわけですが、ひと昔前に思えてそれでも30年40年と時代が乗っているので十分に味わい深さがあります。

細身カーゴパンツ (軍パン) の名品

ドイツ軍 モールスキンパンツ

数あるカーゴパンツのなかでも特に細身で色味も落ち着いたモダンなデザインです。

実物は数が少なくなっていますが民生品のレプリカが出回っているので、無駄を削ぎ落とした実用的なカーゴパンツが比較的安く手に入ります。

モールスキンは名前の通りまるでモグラの皮膚のような質感で、高密度で織られた生地はデニム並みに丈夫で長持ちします。

フランス軍 M-64フィールドパンツ

名品の多いフレンチ・ミリタリーの中でもカーゴパンツは時代と共に姿を変えてそれぞれ魅力的な仕上がりになっています。

マルタンマルジェラが愛したM-47が有名ですが、その後継として開発されたのがM-64です。

M-47がかなりワイドシルエットだったのに対してほどよく細身で野暮ったさが薄れています。

さらに後継のF-2になると裾がゴム絞りになっておりジョガーパンツのような感覚で履けます。

オランダ軍 ナイフポケットパンツ

戦場へ着ていくため右裾にナイフを収納するための小さなポケットが付いたコンバットパンツです。

現代人がこのポケットにナイフを忍ばせるというのはまったく実用的ではなく飾りに過ぎませんが、ちょっとしたアクセントになります。

オランダ軍は年代によっては厚手でかなりワイドなシルエットもありますが、このカーゴパンツは細身でスッキリとしたデザインです。

色味もこれまでの2つと比べて鮮やかなオリーブ色をしているので、カーゴパンツの持つワイルドさも備わっています。

あまり輸入されないのかそもそもの数が少ないのかわかりませんが、見かける機会が少なく日本人に合うサイズが手に入りにくいのかもしれません。

ベルギー軍 M-64フィールドパンツ

ヨーロッパ各国の軍隊にミリタリーウェアを供給するSEYNTEX (センテックス) 社が手掛けており、本社がベルギーだけあって特に気合を入れて作ったと思われます。

裾がベルクロになっており裾幅を簡単に調節できる面白い構造です。

ウエストから太ももにかけては割とゆったり目ですが、裾を絞ることでテーパードが良い感じにかかって引き締まります。

サイズが細かく分かれているので自分の体に合うサイズが見つかりやすいです。

良くも悪くもあまり知名度がないので手ごろな値段でデッドストックを手に入れやすいです。