本物の梅干しが消滅!?食品衛生法改正に伴う漬物製造の許可制によって農家が作る昔ながらの梅干しが危機的状況
Photo by ume-y
梅干しは植物性乳酸菌を多く含み腸内環境を整えるので毎日少量ずつ食べれば健康維持にも役立つ食品です。
しかしスーパーで売られている梅干しの多くは減塩されていたり蜂蜜や調味料で味付けされている商品が多いです。
消費者がそれを求めている面もあるので仕方ないですが、私は梅と塩それから紫蘇のみで作られた昔ながらの梅干しの方が好みです。
要冷蔵の日持ちしない梅干しは正直なところ梅干しとは言い難く、梅漬けとして販売するべきでしょう。
本物の梅干しは約20%の塩分を含むので加工する段階から非常に傷みにくい食品です。
これまで道の駅や直売所などで梅農家さんが作った梅干しが売られていましたが、食品衛生法改正によって2024年6月から漬物を製造して販売する場合、営業許可が必要になります。
衛生管理にはそれなりの設備が必須なので、民家で細々と手作りしていた漬物はほとんど消滅するでしょう。
浅漬けは衛生管理を適切に行わないとすぐに痛みやすいので理解ができますが、本物の梅干しで食中毒が発生したというニュースは聞いたことがありません。
梅干し作りの初期段階に塩がうまく回らず部分的に傷んでしまう可能性はあれど、一度漬けてしっかりと天日干しされた梅が痛むことはまず考えられません。
減塩すればするほど痛みやすくなりますが、少なくとも10%以上の塩分であれば失敗せず梅干しを作れます。
市販の梅干しは塩分が5%~10%程度しかなく、衛生管理を気にしなければいけない厄介な存在です。
漬物は日本の食文化を象徴するもので、特に梅干しは長い伝統があり広く普及して食べる機会が多いので梅農家が減ってしまうのは深刻な問題です。
梅干しと浅漬けを漬物で一括りにしてしまうのがいかにもお役所仕事という感じで、日本の食文化の多様性を無視した改悪だと思います。
ローカルな本物の梅干しが市場から減ってしまうのは避けられないので、今後は自分で梅干しを作ることも視野に入ってきます。
昔は味噌や梅干しなど自分で作って食べていたので、よい意味で昔へ回帰する意識を持つことも大事かもしれません。
高温多湿な日本で暮らしてきた先人たちによる保存食の技術は世界でも随一なので、世界基準 (HACCP) の衛生管理をそのまま当てはめるのはナンセンスです。
農家が手作りした漬物と添加物まみれの安い輸入品とでは比較するのも野暮なほど大きな違いがあります。
たまに食べるジャンクフードを輸入に頼るのはまったく問題ないですが、毎日のように口にする食品を規制するのは将来が危ういです。
いま日本の食品を取り巻く問題が改めて浮き彫りとなり、食の多様性を積極的に守っていかなければ減る一方なのを実感します。
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