ポリウレタン混紡ジーンズの是非
ジーンズという長持ちする丈夫な服に短期で加水分解するポリウレタンを混紡することの矛盾。
ジーンズにポリウレタンが混紡されるようになった大きな要因のひとつがスキニージーンズの流行です。
肌に吸い付くようなフィット感でストレッチして快適に履けるのはポリウレタンのおかげです。
しかし流行はいずれ終わるものでワイドパンツがもてはやされ、再び細身に移り変わっていくというサイクル。
綿100%のジーンズはゴワゴワして履きにくいので、最近ではストレートジーンズにもポリウレタンを混紡する傾向にあります。
綿100%でも履き込めば体に馴染んであまり不快感はないですが、買ってすぐに快適性を求める人が増えているということでしょう。
ジーンズの性質上、履き込むことでデニムが色落ちして風合いが出てくるものですが、ポリウレタンが混紡されていることで急に生地が伸びたまま戻らなくなったり、ストレッチ性が失われてしまいます。
混紡率が低ければボロボロに崩壊したりはしませんが、加水分解した時点で着なくなり捨ててしまう場合が多いです。
もしジーンズを長く履き続けたいなら最初から綿100%を選んでおけば余計なトラブルが起きないので安心です。
当ブログでは過去にも度々ポリウレタンを批判する生地を書いてきましたが、ここ数年でSDGsやらサステナブルという言葉を見かけることが増えた割に、この問題にメスが入らないことが不思議でなりません。
古着を着回していく文化は環境にとって良いことですが、ポリウレタン混紡の衣類が増えれば増えるほど良質な古着が失われていきます。
リーバイスのような伝統あるワークブランドでも平気でポリウレタンを使っているので、油断して買ってしまわないように注意しましょう。
ポリウレタン混紡でないと成立しないスキニージーンズならまだしも、150年以上履かれているストレートジーンズをわざわざ改悪する意味がわかりません。
90年代ごろ作られたジーンズでも今では価値が上がり、綿100%なので当時から劣化せずに現代でも履くことができますが、ポリウレタン混紡ジーンズが同じように古着として価値が付くのかは微妙です。
現代人は服を使い捨てるように買い漁りますが、日本には着物を代々受け継いでいく文化があり、古着も良質なものは継承されていく方が素敵だなと思います。
昔よりもポリウレタンの品質が上がり加水分解しにくい製品も増えているようですが、高温多湿な日本ではあまり相性が良くなく、熱にも弱いのでアイロンも掛けにくいのが難点です。
スキニージーンズの流行が終わると共に若者のジーンズ離れが取り沙汰され、ジーンズ市場は縮小傾向にあります。
快適性を少しでもアップさせるためにポリウレタン混紡に踏み切ったジーンズですが、古着まで含めた長期目線で考えると将来的に悪手になる可能性があります。
意識して選ばないと買えない綿100%ジーンズが失われないよう、目先の流行に左右されないベーシックなワードローブとしてこれからも履き続けます。
ディスカッション
コメント一覧
こんばんは。
ポリウレタンについては自然と親しむはずのアウトドア業界も同様で
防水系の布地はほとんどがポリウレタンで
高温多湿の日本だと早ければ1〜2年、通常でも5〜6年もすれば加水分解でベタベタ+イヤなにおいが発生し、
ポリウレタンの再加工は不可能なので廃棄となります。
リュックにテント、ウェアとポリウレタンの生地が多く、
モンベルやDUNLOP、コロンビア、コールマン、MSRなどもコストの安さから
未だにポリウレタン素材が主流です。
40〜50年前のテントはポリウレタンではなく、定期的に防水剤を塗布していました。
わたしが初めて買った40数年前のDUNLOPテントも未だに現役です。
使用目的は違いますがジーンズと同じように
短寿命、廃棄前提な商品をアウトドア業界が作り続けているのも矛盾を感じます。
コメントありがとうございます。
自然との距離がより近いアウトドア業界がこのありさまなので、もっと真剣に環境汚染の問題に取り組んでほしいですね。
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