万人フォトグラファー社会 スマホで簡単に撮影できる時代にカメラを使う意味
プロとアマチュアの違い
スマホのカメラ性能が向上し日常の何気ない光景を撮影したり、SNSへ投稿して他者と共有するのが当たり前の時代となりました。
昔ながらのカメラは高級志向の製品が残り、格安で買えるコンパクトデジタルカメラは数を減らしています。
一般人の多くはスマホで写真や動画を撮影し、即全世界へ発信できる環境が整っているので、素人が撮影した写真が歴史上もっとも多く出回っている状況です。
プロが使用しているカメラもお金さえ払えば同じものが手に入り、写真家になるための資格も必要ないので誰でもフォトグラファーを自称できます。
プロとアマチュアの物理的な垣根がほとんどないにも関わらず、それでもプロカメラマンという職業が成立しているのは知識や技術に差があるからです。
一方で写真はそこまで良くなくても個人の発信力や人気があれば有名フォトグラファーになれてしまう現実があります。
プロが高級機材で悩み抜いて撮った1枚より、映えスポットで素人がスマホで撮った写真のほうが評価が高いこともあるのでカメラを使う意味が改めて問われている時代だと思います。
プロであれば仕事道具として高級機材をそろえるのは当然のこととして、アマチュアが趣味としてカメラを持つ意味というのは何でしょうか?
アマチュアでもプロ並みに撮影できる人もいますが、プロと違うのは自分の好きなものをとことん追求できることでしょうか。
プロはどうしても時間やお金の関係で割り切る判断が必要ですが、アマチュアはそうした制限がないのでひたすらのめり込むことができます。
カメラも持たないスマホだけで撮影している人は、どちらかと言えば自分が撮りたいというより撮らされていることの方が多いです。
どこかへ出かけたら取りあえず撮っておくという行為は、それほど自分の感情を動かされないので一度も見返さずに終わることもあります。
気持ちのこもった1枚を撮る
もしこれからもっと良い撮影をしたいと考えている人は、まず自分の気になったものをじっくりと観察して興味のある部分のみを主役にして撮影すると心に残る写真が取れます。
映えスポットというものは本来それぞれ違って当然ですが、他者が決めた場所ではその場で思考する過程が省略されるので、どんなに綺麗に撮れても今ひとつ自分の写真として落とし込めません。
写真撮影はひとつ対象を様々な角度から観察して構図や光の表現にこだわるという過程こそに価値があり、写真はその副産物でしかないということです。
何も心を動かされていない状態では、いくら立派な機材を使っても印象に残らない写真ばかり撮れてしまいます。
スマホであまりに簡単に写真が撮れてしまう弊害として、撮影者の気持ちがこもっていない写真が増えている気がします。
使い捨てカメラの時代はフィルムカメラなので枚数が決まっており、今よりも1枚1枚に集中して撮っていたはずです。
プロでさえトリミングやレタッチありきで撮影する場合があるので、昔に比べれば写真1枚に対するシビアさがまったく違います。
いろいろなものを観察する癖をつけると平凡な日常の風景が実に魅力的に感じるようになり、その感情を写真という副産物で残すことができるようになります。
たったこれだけの心掛けでほとんどの自称フォトグラファーよりも魅力的な写真を高確率で撮れるでしょう。
知識や技術だけが先行するとどうしても頭でっかちになり、面白みのない写真しか撮れないので、感情の揺らぎを優先した写真には勝てません。
今はYouTubeを探せばプロカメラマンの撮影テクニックを説明している動画がたくさん見つかるので、基礎な部分は無料である程度学ぶことができます。
あとはひたすらカメラを持っていろいろなものを取り続ければ、徐々に自分なりの理想像が見えてきます。
それと同時にスマホ撮影の限界が見えてくるので、自然と独立したカメラを持ちたくなるでしょう。
良いカメラの性能に頼り切るのではなく、あくまで自分の理想像へ近づけるための道具として上手に利用することがカメラを使う意味だと思います。
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