比叡山廷暦寺の荒行、千日回峰行を通して生きる本質を知る
先日放送された鶴瓶の家族に乾杯「佐藤健 滋賀県大津市」で俳優の佐藤健さんがなにか道を極めた人に会いたいと比叡山延暦寺を訪れ、阿闍梨(千日回峰行を満行した者がつく位)と直接会うことができるか交渉するところで前編が終わりました。
千日回峰行というものが気になり、調べてみるととんでもない荒行でまさに命がけの修行であることに驚きました。
命がけの荒行
千日といっても3年間で達成するわけではありません。
最初の3年間は年間100日だけ修行が行えます。※計300日
255ヶ所の霊場を巡拝する道のり約30kmほどを1日でまわります。
4年目からは年間200日の修行で2年間続けます。※計400日
これで行者としての700日間の巡拝を終え、締めくくりとして堂入りが行われます。その堂入りというのが想像を絶するほど過酷で9日間の「断食、断水、不眠、不臥の行」をやり遂げる必要があり達成しないと次の行へ進めません。
あまりに生存の確率が低く生存率は50%ほどだと言われています。
人間は通常3日も水分を取らないと確実に死に至ります。
いかに人間の限界を超えた修行であるかわかると思います。
この堂入りを最後に亡くなられる行者が多いため別名“生き葬式"とも呼ばれます。堂入りの終盤には意識が朦朧とし、少しの運動で全速力で走ったときのように心拍数が上がるそうです。堂入りを完遂すると人間から生まれ変わり、生き仏のような存在となり阿闍梨として新たな人生を歩みます。
その後も修行は続き、6年目は年間100日で266カ所の霊場を巡拝します。巡拝する場所が増えたことにより1日の歩行距離は60kmにまで増えます。さらに7年目200日がもっとも過酷で前半の100日は300カ所の霊場を巡拝し1日84km歩きます。後半100日は最初の30kmの道のりに戻ります。7年目の前半は寝る時間もほとんどないほどハードで力尽きてしまうこともあったでしょう。
食欲を遠ざける
これで無事千日回峰行を成し遂げたものだけが大阿闍梨として崇められます。この荒行で知っておくべき事は修行が過酷になるにつれて、食べる量を減らしているということです。堂入りの前には五穀を断って、より少ないエネルギーでも生存できるよう体を慣らすような行動をとります。
普通はできるだけ体に栄養を蓄えたほうがよいと考えがちですが、生き物としての本能を抑えて仏へ近づくという行為なのかもしれません。外部からの供給を極限まで抑えると、人間の限界値を突破したなにかが体の中で生み出されるのでしょうか。お坊さんは精進料理というイメージがありますが、修行中には余計なものを口にせず、己を鍛え上げるという精神が息づいている気がします。
まとめ
私は仏教徒ではありませんし、誰もがこんな荒行のようなことをする必要はもちろんないです。ただこういった修行の過酷さに比べれば、普段自分が悩んだり苦労することなんてちっぽけな事だというとらえ方ができます。
逆に修行している人のほうが一つのことに没頭し、精神も安定しているかもしれません。どんなに辛い状況に陥っても気の持ちようで、それが行動にも表れていくということです。
酒井雄哉大阿闍梨はなんとこの千日回峰行を一度では納得せず、二度も達成するという偉業を成し遂げました。過酷な修行でも継続するなかで得られるものがあったに違いありません。修行を人それぞれの人生に当てはめても同じことが言えるのではないでしょうか。
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