都市を耕す エディブル・シティー 都市農園が健全なコミュニティを育成する
2014年に上映が開始されたEdible Cityという映画があります。
日本でも和訳され『都市を耕す エディブル・シティー』という題名で現在でも農と食の交流会を兼ねた上映会が各地で行われているようです。
サンフランシスコ・バークレー・オークランドの3都市を舞台にしたドキュメンタリー映画で、新鮮で安全な食料が近くで手に入らない地域に住む市民たちが自らの手で食料を作り社会を変えていきます。
日本ではよほど辺境に住まない限りは簡単に食料が手に入りますが、アメリカの経済格差や治安の悪さはこうした食の不安も関係しているのかもしれません。
アメリカ人はあまり野菜を食べないイメージですが、そもそも新鮮な野菜が手に入りにくい環境であることを考慮する必要があります。
広大な土地に遺伝子組換えの大豆やトウモロコシ畑が延々と続くような光景を日本ではイメージしにくいので、ジャンクフードばかり食べる上辺だけに注目しがちです。
現状に不安を持つ消費者が奮起して生産者側に回ることで、食料供給だけでなく健全なコミュニティの育成にも繋がる目に見えた変化が起きました。
貧富の差は関係なくどんな人間でも食べなければ生きていけないので、都市農園では皆平等な立場で作物を育て心の安定を得られる場所として機能しています。
人間関係が希薄になりがちな都市部にこうした農園があると人々のコミュニケーションが活性化し、いざという時の食料確保にも役立つので日本にも取り入れたいところです。
日本にも世田谷区立 喜多見農業公園という場所があり、時代の先駆けとして注目されています。
一見すると普通の農地にしか見えませんが、昼間であれば自由に出入りすることができ、育つ作物を間近で見たり講習会なども開かれています。
農業公園は全国各地にあり都内にも数か所あるので、興味のある人は訪れてみると新しい体験ができるでしょう。
いきなり街ごと変えようとするのは難しいですが、食べられる公園や食べられる道など小規模から始めるのはそれほど難しくは無いでしょう。
ちょっと空き地があればそこで野菜や果物を育てる家庭菜園が増えることもエディブル・シティへの第一歩だと思います。
毎日破棄されるような一時的な食べ物ではなく、繰り返し収穫できる食料源を作ることに意味があります。
このままアメリカの後追いをして極限の経済格差を生むのはよろしくないので、こうした都市農園から学ぶことは多いです。
食の問題は格差・貧困・犯罪・教育・政治・環境などあらゆる社会問題を考えるきっかけになります。
日本でも子どもの貧困や栄養失調など目に付きにくいところからジワジワと蝕まれているので、都市農園が少しでもセーフティーネットとして機能すれば社会が良い方向へ進むでしょう。
ウォールアートと菜園の対比が何とも言えないギャップを生み出しています。
社会への不満だったりを落書きや犯罪に手を染めることで紛らわすのではなく、皆で野菜や果物を栽培することで解消されればきっと住みやすい社会になるでしょう。
コンクリートだらけの殺伐とした街のなかに健全でほんわかした都市農園があるだけでも荒んだ心が癒やされます。
「僕たちが最先端なんだ」
そのような強い意思を持った市民たちが今日も畑で農作物を育てながら社会を変えています。
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