昔ながらの文化鍋とおひつは高級炊飯器の保温機能を上回る?直火で炊くことでお米本来の旨味が引き立つ
Photo by BRIDGE
現代ではおもに炊飯器を使ってお米を炊いて食べますが、炊飯器のなかった時代には文化鍋とおひつが主流でした。
それより前に遡るとかまどと羽釜の世界になってしまいますが、かまどを使っている家庭はほとんど無いのでガスコンロで使える文化鍋が最も実用的な道具だと言えます。
文化鍋は1950年に発売され1970年ごろまで台所の必需品でしたが、その後は電気炊飯器の登場で利用者が激減しました。
しかし炊飯器よりも安価で停電時にも炊飯でき炊飯時間も短いという炊飯器よりも優れた点がいくつもあるので、決して道具として劣ってはいません。
ほぼ肉厚なアルミで作られているので半永久的に使用することができ、普通の鍋としても使えるのも強みです。
電化製品のように故障や寿命を気にすることなくガンガン使える道具が、わずか20年ほどの天下だったのは残念なことです。
これほど優れた道具なのに炊飯器に取って代わられた原因として、炊飯器には保温機能が搭載されているため手間がかからないということです。
現代人は家事にかけられる時間が少なく、いつでも蓋を開ければホカホカのご飯が食べられる炊飯器は多くの家庭を支えてきました。
炊飯器の種類が増えて高級炊飯器と呼ばれる製品も登場しましたが、その価値を決定付けるのは炊飯よりも保温機能にあるという分析結果があります。
炊きあがりは評価が別れていても保温されたご飯を比較すると値段相応の評価になるのが面白いです。
もし保温機能を無視すれば炊飯器が文化鍋に勝っている点はほとんどないと言えるでしょう。
電気代よりもガス代の方が高いですが、そもそも炊飯時間が短縮できるのと保温を省くことで純粋に炊飯するためのコストと割り切れます。
炊飯器の寿命の目安が約6年なので買い替えコストを含めるとガス炊飯がそこまで割高とは思いません。
Photo by ABCミッケ
アルミの鍋は熱しやすく冷めやすいので保温効果は期待できませんが、文化鍋のパートナーとしておひつがその役割を担っていました。
木製の容器は炊きあがったご飯の水分をほどよく逃して保温効果も期待できます。
文化鍋からおひつへご飯を移し替える手間や手入れの面倒さによって敬遠されるようになりましたが、今の時代ラップで包んで冷凍庫へ入れてしまえば保温する必要がありません。
食べる時には電子レンジで解凍すればホカホカのご飯をいつでも食べられます。
炊飯器で保温するよりも炊きたてを冷凍する方が電気代を抑えられご飯の鮮度も保てます。
また白米を冷やすとでんぷんの一部がレジスタントスターチという食物繊維の一種に変化し、熱々の白米を食べるよりも糖質の吸収が緩やかになります。
お弁当やおにぎりのように冷や飯を食べることで腹持ちがよく太りにくい健康的な食事が摂れます。
レジスタントスターチは電子レンジで再加熱しても炊きたてご飯より含有量が多く、一度冷ますことが重要であることがわかります。
そう考えるとおひつでほどよく粗熱を冷ますことは理に適った方法だと言えます。
安いお米でも文化鍋で炊くと驚くほど美味しくなるので、炊飯器には戻れないという人も多いです。
羽釜をガスコンロにかけても炊飯できますが吹きこぼれる可能性があります。
土鍋もおいしく炊けますが重くて割れやすいので文化鍋ほど扱いやすくはありません。
文化鍋は蓋が鍋の縁より2~3cm低い位置に収まる構造で吹きこぼれる心配がなく、吹き出した煮汁によって内圧が上がりふっくらと美味しく炊けます。
やはり炊飯用として開発された文化鍋が一番ガスコンロと相性が良いのです。
昭和の大家族が多かった時代には炊飯器の保温機能の恩恵が大きかったですが、1人や2人分をわざわざ炊飯器で保温するのはかなりエネルギーロスです。
現代人が最も手軽に美味しくお米を食べる方法としては文化鍋+おひつか文化鍋+電子レンジだと思います。
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