ボトルアクアリウムに適した植物 (水草・浮き草)
Photo by Nat Tarbox
ボトルアクアリウムにおける植物の役割はとても重要です。
フィルターのない環境において水を浄化し、四方をガラスで覆われた容器のなかで生きる動物たちは外部の刺激を受けやすいので、光を遮断したり隠れ家としてストレスを緩和します。
なるべく手を加えないボトルアクアリウムは植物なしには成立しないといってよいでしょう。
水位を下げてテラリウムっぽいレイアウトにするのであれば、抽水植物なども選択肢に入ってきますが、ほとんどは水中をメインとしたアクアリウムを作ると思うので水草や浮き草から選びます。
目次
水中適応度の高い水草を選ぶ
水草と言っても多種多様で初心者でも簡単に育てられるものから、アクアリウム上級者でも手を焼くほど生育困難な種類まで様々です。
まず二酸化炭素 (CO2)の強制添加が無いとろくに育たない水草は除外します。というかそういった水草はそもそも水草と呼べるのかという疑問すらわいてきます。
二酸化炭素を多く必要とする水草は水中適応度が低い場合が多いです。ほとんどの水草は水上葉を展開でき、自然環境下では雨季と乾季で水中と水上生活を交互にこなすような水草が珍しくありません。
水中によく適応している水草は見た目にも現れます。透明感のあるしなやかな葉を持つ水草は完全に水中生活が中心なので二酸化炭素もそれほど必要とせず生育も簡単な種類が多いです。
水草は繊細に見えて意外に過酷な環境にも適応しようと頑張るので、何年もボトルアクアリウムで過ごして生き残ったような水草はかなり強靱になっているので大切にしましょう。
もちろん始めからある程度過酷な環境にも耐えられるだけの素質がある水草を選ぶことは言うまでもありません。
水草 (沈水植物)
マツモ
根が無く水中を漂っており水上葉も展開しない完全に水中に適応してしまった植物です。
あまりの強靱さからネット上ではマシモ様・マシモ神などと崇められる存在です。
砂利などを底に敷かなくても取りあえず水に放り込んでおけば、驚くほどの成長速度であっという間に大きくなります。
松の葉に似た綺麗な色の葉を持ち、マツモだけを入れたボトルでも成立してしまうほど鑑賞価値があります。
アナカリス (オオカナダモ)・コカナダモ
世界各地に自生しており外来種として日本にも定着しています。
ヘドロが蓄積しているような汚い用水路などにも平気で植わっているので、少々の水質悪化ではびくともしません。
アナカリスをひとまわり小さくしたようなコカナダモも爆発的な繁殖力で日本在来の水草の存在を脅かしています。
ボトルアクアリウムにおいては真冬でも青々とした葉が茂り水質安定に貢献してくれるでしょう。
ウィローモス
水苔の一種で水中に苔むした感じを表現したい時に重宝されています。エビの足場や隠れ家としても最適で稚エビの生存率が格段にアップします。
それほど強い光を必要としないのでボトルアクアリウムにも非常にマッチします。
南米ウィローモス
(水草)巻きたて 南米ウィローモス付 流木 Sサイズ(無農薬)(1本)
明るい場所が確保できるのであれば南米ウィローモスもおすすめです。ウィローモスよりも葉が密に茂るので美しいです。
ロタラsp. セイロン
ロタラのなかでも一番育てやすく他のロタラがいじけてしまうような環境でも綺麗な葉を展開してくれます。
それほどメジャーな水草ではないので入手のしにくさが一番の欠点でしょうか。
ロタラ・ロトンディフォリア
昔からロタラといえばこの種類が有名で、CO2無添加でも難なく育つため初心者向きの水草です。
ハイグロフィラ・ポリスペルマ
こちらも昔ながらの水草であまりに成長速度が速いため、現代のネイチャーアクアリウム環境では逆に敬遠されてしまうほどです。
CO2なんて入れない方が葉が密になって綺麗に育つのでおすすめですが、あまりに小さいボトルだと葉を横へ大きく広げるため窮屈に感じるかもしれません。
改良品種のハイグロフィラ・ロザエネルビスも同様にボトルアクアリウムで使えると思います。
ヘアーグラス (マツバイ)
世界各地の田んぼなどに生えている雑草。細くて一見すると水中にあまり適応してないような草体ですが、水上ほどの成長速度では無いにせよそれなりに育ちます。
ショートヘアーグラス (チシママツバイ)
(水草)ヘアーグラス ショート(水上葉)(無農薬)(3束分)
ヘアーグラスに比べてそれほど高さがありません。ヘアーグラスよりも成長が遅めですが小さめのボトルにも植えやすいです。
オーストラリア・ドワーフヒドロコティレ
オークロの名で親しまれる比較的新しい水草です。いわゆるノチドメ系はあまり水中に適応しておらずすぐに水上葉を出したがります。
しかしオークロは水中でも綺麗な葉を展開し、オーストラリア原産なので耐寒性を備わっています。
コブラグラス
ニュージーランド原産で低水温に強いですが、成長がとても遅いのでCO2をガンガン添加するネイチャーアクアリウムではあまり好まれません。
しかしボトルアクアリウムにおいては、その耐寒性をもって一年中枯れずに少しずつ成長を見守るという楽しみ方ができます。
ピグミーチェーン・サジタリア
背丈の低い水草の中でも特に丈夫で、調子が良ければランナーを次々と伸ばして増えていきます。
エキノドルス・テネルス
昔から育てやすい水槽レイアウトの前景として有名です。ボトルアクアリウムには前景・後景という概念がないので自由にレイアウトしてください。
グロッソスティグマ
(水草)グロッソスティグマ(水中葉)(無農薬)(1パック分)
グロッソスティグマが絨毯のように茂った水槽は思わず見とれてしまう美しさですが、強い照明とCO2添加が必要なのでハードルが高いです。
しかし普通に育てるだけであれば実はそれほど難しい水草ではありません。ボトルアクアリウムでミニ絨毯を目指してみるのも面白そうです。
ルドウィジア系
種類がたくさんありますが丈夫な種類が多いです。低温には強いですが夏場の高温に耐えられるかがポイントになります。
パールグラス
半透明の葉はいかにも水中適応度が高そうです。ソイルよりも砂利の方が簡単に育てられます。北米原産で低温にも比較的耐えてくれます。
ラージパールグラス
パールグラスという名前ですがまったくの別種です。葉にも透明感はなく綺麗な黄緑色をしています。
こちらはより軟水の方が適しているため砂利よりもソイルに植えると簡単に育ちます。
ウォーターカーナミン
上へ真っ直ぐに伸びる性質があるためダッチアクアリウムで重宝されていた水草ですが、近年のネイチャーアクアリウムでは蚊帳の外です。
こうした水草もボトルアクアリウムにおいては魅力を失いません。
バコパ・モンニエリ
枝分かれせずにまっすぐと伸び茎や葉もツルツルなので人工的な印象をうける水草ですが、とても育てやすいのでこうした水草も取り入れるとネイチャーアクアリウムにはない個性が出ます。
ウォーターバコパ
(水草)ウォーターバコパ(水上葉) 鉢植え(無農薬)(1ポット分)
葉をちぎるとミントのような香りがします。まっすぐ伸びて水上では青白い小さな花を咲かせるので、あえてボトルの上から水上化させるというアイデアもありです。
ナヤス
あまり見かけない水草ですが理由はちょっとした刺激ですぐに茎がバラバラになってしまうからです。
強靱なので水流のないボトルアクアリウムで育てれば簡単に育てられます。
アヌビアス・ナナ
成長がゆっくりだけれどとても丈夫な水草です。成長の遅い水草だけに水質浄化能力がどれだけあるか謎ですが、入れて置いてもまず枯らしてしまう恐れがないので安心です。
ミクロソリウム
アヌビアス・ナナ同様ゆっくりと成長し丈夫ですが、高温や水質の悪化でシダ病になりやすく止水だとなおさらリスクが高まります。
夏前に葉をすべて落としてシダ病を予防して夏を越すという方法もあります。
ボルビティス
(水草)ボルビティス ヒュディロティ(無農薬)(1ポット分)
透明感のある独特の葉が魅力的です。ミクロソリウムと同様にシダ病に気をつけなくてはなりません。個人的にミクロソリウムよりも高低温に弱い気がします。
リシア
リシアといえば前景に絨毯のように敷き詰めて気泡を上げる姿を連想しますが、本来リシアは水面に浮いた状態で生活しているので、ボトルアクアでも水面に浮かせると上からの光を和らげてくれます。
バリスネリア・ナタンス (セキショウモ)
テープ状の葉が特徴的な水草で水深により葉の長さがことなるので、ボトルアクアリウムに適応したらそれほど葉が伸びずにコンパクト化すると思います。
スクリューバリスネリアは高温に弱く暑さで溶けるように枯れることがありますが、セキショウモは丈夫なので夏でも溶けにくいと思います。
アマゾンソード・プラント
(水草)Sサイズ アマゾンソード(草丈15〜20cm前後)(2株)
初心者向きの水草として人気がありますが、大きな株だとそれだけでボトルが一杯になりそうなので注意が必要です。
浮き草
アマゾンフロッグビット
アクアリウムで浮き草といえばまずこれが思い浮かびます。もしボトルで調子が悪くなっても野外で直射日光をおもいっきり浴びせてやればあっという間に増殖します。
水面を覆うくらい繁茂させると強い日差しから動物たちを守ってくれます。ただ酸欠には注意が必要ですが。
ドワーフフロッグビット
アマゾンフロッグビットよりも小型でこちらもよく増えます。ボトルアクアリウムの場合は上からだけでなく横からも光が差し込むので、明るすぎる室内の場合は浮き草によって光量を調節するのも一つの手かも知れません。
水草の選択肢は豊富にある
動物に比べ植物の適応能力は素晴らしく種類も豊富にあるのでとてもすべてを紹介できません。
原産地である程度水草の特性がわかります。北米・アジア北東部・欧州・オセアニアなどの温帯地域の水草は気温の変動に強く育てやすいものが多いです。
熱帯地域の水草は日本の冬の寒さに耐えられず枯れてしまう恐れがあります。どの水草も適応させていけば葉が枯れてもまた暖かくなれば成長する可能性はあります。
すべて枯れてしまうと動物の生命維持が困難になるので、常緑の水草を一つ以上は入れて置くのが成功する秘訣でしょう。
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