ASMRで脚光を浴びるバイノーラル録音 マイクやダミーヘッドは自作も可能
Photo by The B-Side
人間は五感のなかでどれ優先して自分が生きている世界を認識するかで性格や行動に違いが生まれます。
空間認識力に長けていたりパッ見でその場の状況を把握できる人は視覚が優れ、音の変化を素早く察知できたり音楽を聴くのが好きな人は聴覚に優れているといった具合です。
聴覚が敏感な人には音フェチが多く、そうしたニーズの受け皿になっているのがASMR (Autonomous Sensory Meridian Response)と呼ばれる音声を主体とした動画です。
バイノーラル録音はステレオ録音に比べてより立体的で臨場感のあるサウンドが魅力ですが、ほとんど日の目を見ることはありませんでした。
現代のアーティストが楽曲制作するにしてもすべて機材ベスト位置に配置して一発撮りするような環境ではなく、音源を切り貼りしながら耳障りの良い音に調整するので従来のステレオ録音が主流なのは揺らぎませんでした。
しかし最近は個人でダミーヘッドを使用したASMR動画を投稿しているクリエイターも増え、バイノーラル録音が注目されるようになりました。
バイノーラル録音とは2つのマイクを使用するステレオ録音方式のひとつですが、ダミーヘッドと呼ばれる人間の頭部の模型や人間の耳に取り付け、人間が実際に聞こえる音により近づけるための工夫です。
専用の機材をそろえると割りと高額になってしまいますが、要は独立した2つのマイクを耳元に設置できれば良いので安価に自作することも可能です。
もともとウィスパーボイス好きな私は女性クリエイターのASMR動画を見ると全身がゾワゾワする感覚に襲われます。
ASMRではバイノーラル録音だけでなくX-Y/A-B方式で録音できるICレコーダーも良く見かけます。
こうした音は自律神経が刺激されリラックス効果を感じる人は、聴いている間に眠くなることも多いようです。
このような動画を見ると自分でも録音してみたくなり、かといってICレコーダーは持っていないので手持ちのスマホでどうにか録音できないかと考えました。
いろいろ調べたところスマホにはイヤホンジャックしか付いていないので、3極タイプのステレオマイク繋いでも録音することができません。
ところがXperia Z3以降の端末にはMDR-NC750というノイズキャンセリングイヤホンを繋げば簡単にバイノーラル録音できるようです。
SONY MDR-NC750 ノイズキャンセリング機能搭載 Black/ブラック
Z5以前は他のノイズキャンセリングイヤホンも使えていたようですが、Z5になってから動作保証はされていないとか。
ハイレゾ音源を聴くなどXperiaの性能を最大限に引き出すには必須らしいので、Xperiaで音楽を楽しみたい人は買って損しないでしょう。
なぜ録音にイヤホン？と思うかもしれませんが、ノイズキャンセリングイヤホンには周りの雑音を察知するためのマイクが内蔵されているので、それを利用したバイラノーラル録音が可能だそうです。
ICレコーダーやマイク端子の付いた録音機器を持っている人はより選択肢が増えます。
バイノーラル録音できるイヤホンとして最も代表的なのがRoland CS-10EMで見た目は普通のイヤホンにしか見えません。
こちらはMDR-NC750の違いマイク機能がメインでイヤホンはおまけ程度なのでバイノーラル録音するという明確な意図がなければ選ぶべきではありません。
Roland ローランド バイノーラル マイクロホン イヤホン CS-10EM
ICレコーダーはTASCAMやZOOMのステレオマイキング可能なモデルが人気です。
TASCAM リニアPCMレコーダー DR-40VER2-J
私は今のところASMRのために数万円も払えないので手が出ませんが、本気でASMRやバイノーラル録音に挑戦したい人には最適でしょう。
例えばDTM (デスクトップミュージック)を始めるとしたら、ハイスペックPC,DAW,オーディオインターフェイス,マイク,MIDIキーボード,モニターヘッドホン,モニタースピーカーなど様々な機材が必要です。
それに比べてASMRであればバイノーラルマイクやICレコーダー程度なので初期費用のハードルはそこまで高くありません。
それなりに需要があるのに競争率が少なく顔出しや特殊なスキルが必要ないので、これからYouTuberを目指す人 (特に女性)には穴場だと思います。
3D映像がだいぶ熟れてきてこれからは3D音声とも言える、より自然で臨場感のあるバイノーラル録音が各方面で使用される機会が増えてくるのではないでしょうか。