2016年の個人的に気に入ったアルバム10選
Photo by George Kelly
2015年版は年明けに書きましたが音楽雑誌などはこの時期にそろって年間ベストアルバムを発表するようで、まだあと数日あるのにランキングを決めるのが良いのかは微妙なところです。
今年の音楽シーンはかなりの豊作だったようで、音楽以外の分野においても変化の激しい一年でした。
個人的には数年以上ぶりに大物アーティストがアルバムを発売したり、はたまた人生と音楽活動の締めくくりとして遺作を残してこの世を去った偉大なアーティストが印象的でした。
私は年間ベストアルバムTOP100をガッツリ組めるような聴き方はしていないし、そういった人はごく少数だと思います。
そんな中でも今年よく聴いたり記憶に焼きついているアルバムを紹介していきたいと思います。
※各サムネイル画像をクリックすると動画に切り替わります。
目次
個人的に気に入ったアルバム (アルファベット順)
ANOHNI / Hopelessness
おそらく私情を挟まなくても2016年を代表する傑作として選ばれるであろうANOHNI (アノーニ)名義として初のソロアルバム。以前Björk (ビョーク)とコラボした『The Dull Flame of Desire』などでも圧巻の歌声を披露していました。その後に性転換手術を受け女性として新たな道を歩む彼女の指標となる作品です。
Bibio / A Mineral Love
Bibio (ビビオ)はとにかく安定感抜群で奇をてらって満点を狙うよりも確実に80~90点の曲を提供してくれるアーティストだと思います。ムラがあるより総合値で優れている事はプロとして大切な要素です。
Bon Iver / 22, a Million
アメリカのフォーク・ロックバンドBon Iver (ボン・イヴェール)の3作目となるアルバムは過去2作よりかなり実験的で、前作の牧歌的でしっとりとした印象から一転して感情を剥き出してより内面を解放したような生々しさも加わり、新たな境地にたどり着いた感があります。
Clark / The Last Panthers
WARPの鬼才Clark (クラーク)が手掛けたフランスのTVドラマ『The Last Panthers』のサントラ。アルバムとして通しで聴いてもクオリティが高いのが特徴。OPテーマ曲が同じイギリス出身であるDavid Bowieの遺作Blackstarなのも感慨深いです。
D.A.N. / D.A.N.
東京在住のスリーピースバンドの1stアルバム。都会的で洗練されたミニマルなサウンドは同世代アーティストのなかでも抜きん出ています。もしかしたら邦楽で今年一番聴いたアーティストかもしれません。
James Blake / The Colour In Anything
Beyoncé (ビヨンセ)の最高傑作との声も名高い『Lemonade』にゲストボーカルとして参加した同年に、自身でも3作目アルバムをリリースしました。オートチューンと生声のバランスが随分と熟れてきて、ジャケ写のように冷たく淀んだ景色の中にも確かな温かみがあります。
ラブリーサマーちゃん / LSC
宅録女子大生ラブサマちゃんのメジャーデビューアルバム。日本を代表する作曲家いずみたくの孫娘。まだ荒削りでパクリ?オマージュ?批判もありますが、自由な風土のレーベルらしいので、今後さらに才能が開花するかもしれません。ネット発のアーティストがこれからも増えていくのでしょうか。
Radiohead / A Moon Shaped Pool
Radiohead (レディオヘッド)の5年ぶりとなるアルバムは統一感がありながらも創作意欲が詰まった傑作です。25年ほどのキャリア経てこのアルバムを出せるというのは改めて恐るべきバンドだと実感します。"月の形をした水たまり"というタイトル通り、月光のあたる水面がキラキラと揺らめくような幻想的な光景が目に浮かびます。
サニーデイ・サービス / DANCE TO YOU
サニーデイ・サービスの記念すべき10作目のアルバム。イラストレーター永井博による日焼けした男前が真夏の日差しを浴びて横たわるダンディーなイラストが秀逸です。どこまでもポップでよどみなく爽やかな風が吹き抜けて、聴き終わるころにはほのかな哀愁と晴れやかな気持ちに包まれます。
宇多田ヒカル / Fantôme
J-POPを語る上で避けて通れない存在である宇多田ヒカルの8年ぶりとなるアルバム。人間活動という名目で休止中に結婚と出産を経験して作品も保守的になるかと思いきや、2曲目に『俺の彼女』を持ってくるセンスやKOHHとのコラボ作『忘却』など野心的な部分を失っていなかったので歌姫は今なお健在でした。気がつくと『俺の彼女』と『真夏の通り雨』ばかり聴いてしまいます。
番外編
くるり / 琥珀色の街、上海蟹の朝
メンバーの脱退や加入を繰り返し、落ち着いた2014年にTHE PIERで地盤を固めた新生くるりが、結成20周年にして打ち出したのがソウルフルなラップというのもジャンルに捕らわれないくるりらしさがあって面白いです。
琥珀色の街、上海蟹の朝 (初回限定盤・CD+Bonus CD)
BOOM BOOM SATELLITES / LAY YOUR HANDS ON ME
5月31日に19年間の音楽活動に終止符を打ち、10月9日に川島道行さん (ギター・ボーカル)がずっと闘病していた脳腫瘍が悪化してこの世を去りました。遺作となった今作のMVには愛娘が出演し、どこまでも澄み切った音色は父から娘へのメッセージかもしれません。
David Bowie / Blackstar
肝ガンを患い1月10日に69年の人生を終えた彼が自分の死期を悟り最後の生命力を注ぎ込んだ作品です。あらゆるジャンルの音楽を網羅して独自の世界観を築き上げ後の音楽家に多大なる影響を及ぼしました。余命いくばくもない人間の声とは思えない若々しい歌声と死への探究心がうかがえます。
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