アメリカ合衆国国立公園局 創設100周年 国家規模の自然保護はここから始まった
まだ自然保護という概念が希薄だった時代に、アメリカが国内の雄大な自然を永久に保護していくことを目的に創設されたのがアメリカ合衆国国立公園局 (National Park Service, NPS)です。
それまではひたすら天然資源を貪るようにして自然破壊しながら生活圏を広げてきた人類ですが、資源は有限でこのまま自然破壊を続ければ、人類が生存していけなくなる事を危惧して世界で初めて国家規模の自然保護が行われました。
もしも森林を切り倒し土地という土地をすべて開拓してしまったら、自然の治癒力が弱まり大半が砂漠化してしまうのではないでしょうか。
やはり手付かずの自然というものは、人間の経済活動による自然へのダメージを緩和し、安らぎと癒やしを提供してくれるかけがえのないものです。
アメリカ合衆国国立公園局が創設されたのが1916年8月25日なのでちょうど100周年を迎えたばかりです。
当時の担当者たちはもうこの世を去っているでしょうし、その息子や孫世代が自然保護の意志を受け継いで現代に美しい自然が維持されていることはもっと評価されるべきです。
実際には世界初の国立公園であるイエローストーン国立公園が1872年に設立されているので、もっと昔から自然保護の取り組みはされていました。
日本では江戸幕府が滅んで明治になったばかりの頃なので、そんな時代から経済の発展だけでなく自然保護にも力を入れていたというのは驚きです。
今年の6月には100周年に際してオバマ大統領が直々にカリフォルニア州ヨセミテ国立公園やニューメキシコ州カールズバッド洞窟群国立公園を訪問し100周年を祝いました。
この絶景は、iPadやテレビはもちろん、油絵でさえ捉えることができない。ここに来て、直接感じ取るしかないのだ。この公園には、世界最大の一枚岩エル・キャピタンや北米で最も落差のあるヨセミテ滝があり、シカ、ハヤブサ、オオヤマネコが生息し、樹齢2000年のセコイアもみられる。この場所には何か神聖なものがあり、これこそ、この渓谷の岩壁が「大聖堂の壁」と呼ばれたゆえんだ。ヨセミテでは人間だけでなく、何かもっと大きなものとのつながりを感じることができる。
バラク・オバマ | American View
国立公園制度100周年を記念して『アメリカ・ワイルド』という映画が制作され、シネマカメラで撮影された映像で改めてアメリカの変化に富んだ自然の姿を見ることができます。
圧倒的な経済力で世界を引っ張ってきたアメリカですが、国立公園制度についても自然保護の道しるべとして、世界各国で国立公園が設立されました。
日本にも30ヶ所を超える国立公園がありますが、日本はもともと間伐や植林が当然のように行われ、稲作など自然と寄り添う生き方をしてきた国なので、首都である東京周辺であっても一部に原生林が残っています。
まさに地域や個人レベルで昔から自然保護の意識が深く根付いていた証です。
一方ヨーロッパでは木という木を切り倒して開拓してきた歴史があるので、原生林もごく一部しか残っておらず、それすらも保護のために伐採が検討されています。
ヨーロッパに残った最後の原生林、保護のため伐採へ|ギズモード・ジャパン
国立公園の中では手付かずの自然というものが息づいていますが、世界的に見ると特に南米・東南アジア・アフリカなどで森林が減少しているという事実もあるので、これをいち早く食い止めなければなりません。
これは当事国だけの問題ではなく世界全体で考えなければならない事なので、時間はかかりますが国立公園制度のように継続した取り組みで未来を変えていくしかありません。
破壊するのは一瞬だけれど再生には膨大な労力と時間がかかるのが自然保護であり、経済活動と並行して取り組まなければならない人類の宿命です。
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