アラン・ワッツ 生誕100周年 タブーを解き明かし自分らしく生きるための哲学
Photo by @AlanWattsDaily
Alan Watts (アラン・ワッツ)はイギリスの哲学者で1915年生まれ死没1973年なので2015年で生誕100周年となります。
自分の人生を決めるのは自分自身のはずが無意識のうちに社会が生みだした価値観やルールに縛られ、本来の生き方を達成できないまま生涯を終える人々の多さ、それに息苦しさを感じるなら必要な哲学かもしれません。
お金が目的でなかったら、キミは何がしたいのか?
将来の目標やなりたい職業が見つけられず悩む学生でもお金の心配がなければ、画家や詩人や作家であったりアウトドアな生活がしたいと夢を語り出します。
しかしそれではお金を稼ぐことは難しく生活するうえでの大きな壁が立ちはだかります。
アラン・ワッツはそこでお金を得ることが最も大事なのであれば、それは人生を無駄にしているだけだと学生たちに伝えました。
多くの人が会社に雇用されお金を稼ぐために働いていますが、おそらくそれによって無数の才能が開花しないまま埋もれていることも事実です。
拝金主義の弊害は私たちが思っている以上に深刻なのかもしれません。
やりたい夢を諦めて安定して長生きするのがよいのか?
それとも例え短い命でも好きなことをして過ごす方がよいのか?
これは死ぬ間際にならないと答えは見出せないとは思いますが、出来れば好きなことして長生きできれば最高です。
お金のことなど考えず好きなことだけを追求するとその道の達人となり、意外に食っていけるようになる可能性もあります。
100人のうち1人でもそうした夢を現実にする才能が開花すればと言う思いで伝えたメッセージだと思います。
達人になるとそれに価値を見出して出資してくれる人が現れたり、協力したいと応援に駆けつけてくれる仲間が増えることだってあります。
100%今に生きる
物心ついた頃から幼稚園や保育園に入り小学校・中学校・高校・大学へと進学して社会人になるためのステップを踏み大人になっていきますが、そのなかで社会が用意した価値観を植え付けられます。
また親や兄弟もそうした環境の中で育ってきたので、それが当たり前だと思い込んでしまいます。
正社員として働き、一軒家やマイカーを買い、老後はのんびり年金暮らしすることが最高の幸せであると定義され、それを実現できるように企業でたくさん働いてねという具合に刷り込まれます。
しかし企業に就職してぼちぼち働きながら定年まで同じ会社に勤めるという安定した生活がいよいよ終わりを迎え、社会保障も削られる一方で湧き起こる先行きのない不安。
将来を見据えた人生設計をしてもあっという間に崩れ去るような激動の時代へと突入しています。
そんな中で将来の不安を思い詰めてもその時に今の自分は存在しません。つまり今を生きていない人はいつまでも将来の不安を抱えたまま生き続けなければなりません。
生き方に正解などないはずなのに幼少期から植え付けられてきた価値観に苦しめられてきたのであれば、アラン・ワッツの今を全力で生きろというメッセージで気分が楽になるでしょう。
タブーの書
アラン・ワッツ著『THE BOOK : On the Taboo Against Knowing Who You Are』が翻訳され『タブーの書』として日本でも販売されていましたが、今は『「ラットレース」から抜け出す方法』というタイトルに変更され売られています。
これにはあまりにも売り方が酷いのではないかという批判も寄せられています。
タブーの書はあくまで哲学書であり、宗教・スピリチュアル系や薄っぺらい自己啓発本とは明らかに異なる内容で、誤解されるタイトルであることは間違いないです。
むしろアラン・ワッツはそうした宗教的な思想には警鐘を鳴らしているほどです。
いずれかの宗教に頑迷に固執する態度は、知性の自殺行為であるだけでなく、徹底した不信心ですらある。
なぜなら、それは新しい世界観に心を閉ざすことになるからだ。
詰まるところ、信仰とは、開かれた心のことであり、未知のものを信頼することである。
by Alan Watts
現代の混沌とした世界情勢、宗教戦争や本来の信仰とはかけ離れた非人道的なテロリスト組織の台頭、それを裏で支援する権力者や大国の影などまさに、世界観を固執してそれぞれの正義を振りかざす終わりのない戦いが続いています。
歪んだ信心は異なる思想を受け入れず一方的に排除する方向へ進むことをアラン・ワッツは見抜いており、こうした人間の傲慢さが失われない限りは本当の平和と幸福は訪れないでしょう。
人生とは、解決すべき問題でも、答えるべき質問でもない。
人生とは、経験すべき未知なのだよ。
by Alan Watts
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