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ポリウレタン (PU樹脂) 素材の呪縛から解放される方法

2021年9月22日

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Photo by Jamie

ポリウレタンは1950年代以降さまざまな工業製品に用いられ、とても身近な素材のひとつになりました。

特に生活のなかに多く取り入れられているのはストレッチの利いた衣類やクッション性のあるスニーカーの靴底。

そしてソファやバッグなど天然皮革の代用として使われる合成皮革の原料もポリウレタンです。

撥水加工してあるレインジャケットの表面にもPUコーティングといってポリウレタンの薄い皮膜が張られていることが多いです。

軽くて伸縮性があり耐摩耗性や耐油性にも優れた非常に使い勝手の良い素材ですが、それはあくまで初期性能でしかありません。

ポリウレタンに合成された瞬間から劣化が始まり、環境によっては2~3年ほどで加水分解が起こり使いものにならなくなります。

これほど劣化の早い素材は珍しく工業製品として広く普及していることにも疑問を抱きます。

高価なアウトドア製品にも当然ポリウレタンが使われており、私自身せっかく買ったレインジャケットが数年でボロボロになったという悲しい出来事を実体験しているので憤りがあります。

ポリウレタンの劣化がもう少し緩やかで製品自体の寿命と大差なければ問題ないのですが、製品の性能が落ちていないのに明らかにポリウレタンが足を引っ張っているように思えます。

ポリウレタンが普及する前は皮革や綿素材が主流でその時代の物はとても丈夫で実用に耐えうるヴィンテージ品がごろごろ眠っていますが、加水分解の避けられない近年の工業製品をみると、将来的に受け継がれていくことなる消えていくもの悲しさがあります。

例えばハイテクスニーカーのコレクターというものは水物であり、古い物から劣化して消えていく運命なのです。

多少重みがあったり性能面で劣っていても恐ろしいほど長持ちして、自分の身体に馴染んで使いやすくなっていく素材は昔ながらの皮革綿などの方が勝っている気がします。

だからといってポリウレタンを撲滅しようというわけではありません。

比較的サイクルが早めの製品や代えのきかない製品もあるので、そうした物には取り入れるべきだと思います。

逆に長く持ち続けたいものにポリウレタンが含まれている場合には注意が必要です。

悪い状況が重なればあっけないほど早く寿命を迎え、泣く泣く処分することになりかねません。

ポリウレタンは水を弾いたり水と接しやすい場所に使われている割には耐水性が低く、熱にも弱いので日本のような高温多湿な夏を過ごさなければならない地域には最も適さない素材だと言えます。

それでもこれだけ普及していると言うことは、何だかんだ言っても日本は経済的に豊かで劣化してもすぐに買い換えられる余裕がまだある国なのでしょう。

特に近年のアパレル製品には着心地をよくするために、ストレッチの利いた製品が山のように販売されていますが、それらも数年経てば履けないか履いてもみすぼらしくなります。

革靴は履き込むほどに最初は固かった靴底が自分の足に馴染み、長時間歩き続けても疲れにくい靴に育ちます。

良質な綿で織られたバスクシャツは洗濯するたびに繊維が詰まって縮みますが、柔らかく肌ざわりの良い服へと生まれ変わります。

劣化して性能が落ちるばかりの化学繊維に比べ、使い続けるほどに性能が上がり宝物になるのが天然素材の魅力です。

緩やかに経年変化する物

ポリウレタンの最悪な点は昨日まで使えていたのに突然ボロボロに劣化し使用不可能になることです。

道具の性能で命を落とす可能性のあるアウトドア製品でポリウレタンが多く使用されていることはあまり納得がいきません。

数年で劣化してくれた方が新製品を買ってもらえるので、そういった面では甘い汁を吸ってやめられないのかもしれません。

日ごろの道具メンテナンスや品質チェックもユーザーの自己責任としてしまえば簡単なのですが、劣化の兆候がわかりにくい素材を使っているのも事実です。

これを避けるためには数年ごとに必ず買い換えるか、緩やかに経年変化する素材を選ぶしかありません。

それでも命を最優先するような雪山登山などでは最新の装備に身を包んだほうがより安全に登山できます。

今持っているポリウレタン製品の代わりになるものを見ていきましょう。

レインジャケット

雨を弾く撥水性はなかなか他の素材ではなかなか難しそうです。

ゴアテックスはPUコーディングが劣化しても水切れが悪くなるだけで、性能自体に問題はなく穴が開かなければ水を通さず透湿できるようです。

最強の雨具は日本が生んだ蓑 (みの)腰蓑 (こしみの)だそうです。第二次世界大戦の最中にも線路工夫などへ政府が支給していたほどです。

現代においても蓑を凌ぐほどの性能を持つ製品は開発されていません。

合成皮革のバッグ

天然皮革のバッグは手入れが必要ですが非常に長持ちします。

ナイロンやポリエステルで作られたバッグは手入れもそれほど必要なく軽くて丈夫です。

ただし化繊でも撥水加工してあるバッグにはポリウレタンが含まれている可能性が高いです。

キャンバス素材で表面にワックスが染みこませてあるバッグは多少の撥水性があり使うほどに味わいが出ます。

レトロな白タグの付いたデイパック EASTPAK Wyoming Into the Out

ウレタンソールのスニーカー

クッション性があって履き心地の良いハイテクスニーカーですが、数年経つと靴底がボロボロに加水分解を起こします。

クッション性は劣りますがゴム底のスニーカーは劣化が緩やかです。

それから何と言っても革靴は自分の足に馴染ませれば、どんな靴よりも歩きやすいという人もいるほどです。

SUPERGA (スペルガ)にそっくりなイタリア海軍のミリタリースニーカー

ストレッチ素材の衣類

下着や靴下など消耗品として扱うならば別にポリウレタンが入ってようが気にする必要はないと思います。

消費サイクルの早い製品ほど初期性能の高いポリウレタンの恩恵を受けやすく相性がよいです。

しかしジーンズやジャケットになってくると微妙です。

これだけポリウレタンを叩いておきながら私自身もストレッチジーンズを持っているので説得力がありません(笑)

ユニクロ セルビッジ スリムフィット ストレートジーンズ (ストレッチ)を購入

合成皮革のソファ

ソファがボロボロになると買い換えるのも面倒だし、ずっと使うのであれば本革や布製を選んだ方があとあと楽かも知れません。

まとめ

その他いろいろな製品に含まれていますが切りがないので特に気をつけるべき5つをあげました。

これだけポリウレタン製品が普及していると強制的に短いスパンで買い換えを迫られているようで、あまり気持ちの良いものではありません。

わずかな期間だけでも快適に過ごすことを優先するか、長く使い続けることに価値を見出すかは人それぞれですが、私は後者の方がゆったりしたサイクルで人にも自然にも優しいのではないかと思います。