ボトルアクアリウムに適した動物 (魚類・エビ・貝)
Photo by zeevveez
ボトルアクアリウムについては以前にちょこっと書きましたが、要は片手で持てるほどの小さな瓶に動物や植物を入れて自然の生態系を再現しようという試みです。
中でもヒーターやフィルターなど電気を使う製品も使用しないバランスドアクアリムが最も難易度が高いと言われています。
完全に密封して空気の循環すら無くしたパーフェクトアクアリウムは緻密な計算が必要なので素人には難しいので、バランスドアクアリウムが個人の趣味レベルで再現できる範囲かと思います。
ヒーターとフィルターが使えない無加温・無濾過の状態でなおかつ照明も使えないとなると、かなり場所が制限されるため照明に使うライトくらいは例外として使用するのもありかなと思います。
もちろん照明に頼らず年間を通して日光がほどよく差し込むような環境があれば言うことありませんが。
目次
過酷な環境にも耐える動物を選ぶ
小さな瓶で水中の生態系を再現しますが、水量が限られているため気温の変化や水質の悪化が激しくデリケートな動物はとても長期的に生きてはいけません。
冬場の低温や夏場の高温どちらにも耐えられるほどタフな動物となると選択肢が限られてきます。
瓶に対して大きすぎる個体だと水質の悪化も早いので小さな方が環境に与える負荷も少ないです。
強靱さでいえば汽水や磯の生き物が最強だとは思いますが、今回は淡水を再現することに絞って選びたいと思います。
魚類
あくまで個人の独断と偏見で選んだ魚なので、自己責任のもと生体の調子を見ながら飼育してください。
アカヒレ (コッピー)
魚類としてはこれ以上の選択肢は見つかりません。コイ科の温帯魚なので暑さ寒さに強く水質にもうるさくありません。
小さな瓶でも環境さえ整えれば元気に泳ぎ回ってくれるでしょう。
価格も手ごろで入手がしやすく鑑賞価値も高いので完璧です。
メダカ
アカヒレと同じく温帯魚で日本の気候に一番適応した魚なので耐暑性だとアカヒレも凌ぐほどです。
ただ室内飼育だと日光を十分に浴びられず、野外飼育されてるメダカのような強靱さは失われます。
アカヒレという絶対的な存在がいるので、初心者があえてメダカを選ぶ意味があまりない気がします。
改良品種が数多く作り出されていますが、丈夫なヒメダカやクロメダカが妥当でしょう。
ドワーフモスキートフィッシュ (リーストキリフィッシュ)
アメリカ原産で卵胎生メダカというグッピーと同じような繁殖形態なので卵を産まずお腹から直接稚魚が生まれます。
地味で珍しい魚で値段も高いのでボトルアクアリウムで飼っている人はまず見かけません。
暑さ寒さに適応する温帯魚で小型の卵胎生メダカという実はもの凄いスペックの魚なのですが知名度は皆無です。
ゴールデンハニー・ドワーフグラミー
この魚はちょっと以外かなと思わますが、グラミーのなかでは小型で比較的大人しく、アナバス特有のラビリンス器官によって水面から直接呼吸できるので酸欠にはめっぽう強いです。
熱帯魚のなかでも暑さに強く30度を超えてもピンピンしていますが、寒さにはアカヒレやメダカほど耐えられないので、飼うなら10度以上はキープしたいところです。
ボララス各種
ボララスはとにかく小さな魚で環境に負荷がかかりにくいはずです。
特にボララス・ウロフタルマ (ウロフタルモイデス)が低温耐性が高くボララス・マキュラータは低めだというデータがあります。
チェリーバルブ
コイ科でそもそも丈夫で飼い込むとチェリーの名の如くオスは鮮やかな朱色に染まります。性格も大人しめで低温にも割と強いのでボトルで飼うのもありかなと思います。
シルバーチップ・テトラ (ハセマニア)
(熱帯魚)ハセマニア(シルバーチップ)(約3cm)<10匹>
カラシンの中では低温に強いようです。ボトルで可能かどうかわかりませんが、水草がたくさん生い茂るような環境が用意できれば繁殖も容易な魚です。
ラスボラ・エスペイ
低温に比較的強く穏やかな性格でなんとかボトルで飼えるレベルの魚としては、このあたりがボーダーラインではないでしょうか。
優等生のみがボトルに入ることを許される
他にも入れて良さそうな魚がいくつかありましたが、スカーレットジェムは貝を食べてしまうし、ゼブラダニオは運動量が多くボトル飼育には不向きだし、サーペやブラックテトラは気性が荒かったり、縄張り意識が強すぎるため狭い空間には適さないという理由で除外しました。
コリドラスは底を掻き回すので厳しいので除外。グリーンバルブもといゴールデンバルブやプリステラは草食性が強いので除外。
強靱で耐寒性のある魚はもっとたくさんいますが、ボトルアクアリウムに適した魚という縛りを入れるとかなり絞り込まれます。
もっと探せば飼えそうな魚が見つかるかもしれませんが、なかなか骨の折れる仕事なのでこの辺で止めときます。
そもそもボトルで魚を飼うことがハードル高めで、なおかつ熱帯魚ともなれば十分リスクは承知のうえで飼育してください。
参考:無加温飼育スレまとめ
エビ
あくまで個人の独断と偏見で選んだエビなので、自己責任のもと生体の調子を見ながら飼育してください。
ミナミヌマエビ
ボトルアクアリウムに最も適したエビがこのミナミヌマエビです。入手も容易で専門店でなくても売られているほどポピュラーな存在です。
環境が合えば淡水のみで繁殖し稚エビを見かけることもあるでしょう。小さい体でも驚くほど強靱で野外で繁殖したような個体は早々死にません。
ヤマトヌマエビ
ヤマトヌマエビは日本にも生息するエビなので日本の気候に合います。淡水では繁殖しませんが大事に飼えばかなり長生きするのでアクアリウム初心者にもおすすめです。
レッドチェリーシュリンプ
ミナミヌマエビの近縁種と思われる赤色が綺麗なエビです。ミナミヌマエビほど丈夫ではありませんが、年間を通してボトルで飼えます。
野外で繁殖させ越冬したような個体はミナミヌマエビと変わらぬほどたくましく成長します。体の構造は同じでミナミヌマエビの色違いなだけという情報も。
ビーシュリンプ
とても小さなエビでボトルアクアリウムにも割と適していると思いますが、他のエビに比べると水質の変化に弱い面があり注意が必要です。
ただ大きな水槽でフィルターもしっかり利かせているのに死んでしまうこともあれば、小さな瓶でも元気に暮らしている場合もありなかなか奥深いエビです。
品種改良されたクリスタルレッドシュリンプが人気でしたが、ブームも落ち着き普通の個体であればそれほど高価でなくなったので、ボトル飼育にチャレンジしてみるのも面白そうです。
トゲナシヌマエビ
ヤマトヌマエビの小型版といった感じで高温や水質悪化にも強く、ボトルアクアリウムにはこちらの方が適しているかなと思います。
ヤマトヌマエビほどポピュラーではないので入手しにくいのが欠点でしょうか。もっと評価されても良いエビのひとつです。
貝 (スネール)
あくまで個人の独断と偏見で選んだ貝なので、自己責任のもと生体の調子を見ながら飼育してください。
レッドラムズホーン (インドヒラマキガイ)
水草に付着して邪魔者扱いされていたインドヒラマキガイが品種改良されて美しい姿となり観賞用の貝として定着しました。
個人的には原種の茶色っぽい個体も好きです。ボトル飼育ではそれほど繁殖することもなく、枯れた水草からエビや魚の死骸まで何でも食べて掃除してくれるので、この貝がいるのといないとでは水の安定度が違います。
ヒメタニシ
こちらも何でも食べて水質浄化能力に優れますが、ボトル飼育だと限られたスペースなので餌不足に陥る可能性があります。
サカマキガイ・モノアラガイ
水槽では大繁殖して嫌われる存在ですが、ボトルアクアリウムには効果的に働く可能性があります。
お店で売られている貝ではないので、水草に付着していたり用水路や自然の河川で採取しなくてはいけません。
イシマキガイ (カノコ貝)
コケ (藻類)しか食べないので餌不足になる可能性があります。またひっくり返っても自分で起き上がることができずに死んでしまうケースもあります。
日光をガンガンに当ててコケを積極的に生やすような飼育をすれば、長期飼育が可能かも知れません。
サザエ石巻貝 (イガカノコ貝)
特徴は貝殻にサザエのような突起物があるため、ひっくり返っても自力で起き上がりやすくイシマキガイのように事故死する確率が低いです。
まずは鉄板の組み合わせから始める
ボトルアクアリウムに適しているであろう動物たちを紹介してきましたが、これまでアクアリウムの経験がない人は鉄板の組み合わせで飼育スキルを高めましょう。
魚であればアカヒレやメダカ、エビであればミナミヌマエビ、貝であればレッドラムズホーンが鉄板です。
最初は水換えも積極的に行ってとにかく水質を悪化させないように気を配りましょう。
真夏や真冬に熱帯魚をいきなり過酷なボトルへ入れるとまず失敗します。特にヒーターの無い冬を越すなら秋ごろからしっかりと慣らして飼育するようにしましょう。
けれど頻繁に水換えすればよいというわけでもなく、ボトルの状況も見ながら適度なメンテナンスを水換えを通して学びます。
いずれは水換えもほとんどせず足し水だけで何年も飼育できるような環境が整えば最高です。
エビと貝だけであれば餌やりが必要ないので、水が汚れにくい環境を作りやすく長期維持もそれほど難しくはありません。
人の手を極力加えないアクアリウム
人工的に維持されたアクアリウムに魅力を感じなくなった人や生態系の循環システムに興味のある人はボトルアクアリウムの世界へ足を踏み入れてください。
もちろんインテリアとしても美しく安定したボトルは鑑賞価値があります。
インテリアといっても動物を飼育しているのできちんと面倒を見ることが大前提ですが、完成すれば同じ物が2つとない究極のインテリアになります。
自然を水槽内に疑似再現したネイチャーアクアリウムの次の段階として、環境負荷を極力抑えて人工的な補助システムを排除したボトルアクアリウムが注目される日がくることを願います。
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