デニム (ジーンズ) のユーズド加工は環境負荷が高く水やエネルギーの無駄でしかない
新品のジーンズを買いにお店へ行くと本来は濃紺や真っ黒しかないはずなのに、濃い色から薄い色まで豊富なカラーバリエーションがそろっています。
元の染料の色に近い状態のまま商品化される服が多いなか、ジーンズなどのデニム素材はわざわざ色落ちやダメージを与えて使い古した状態を再現しています。
藍染絞りのようにあえて染色されにくい状態を作り生地に変化を加えるのではなく、一度染色した生地の表面を化学薬品に浸したり傷つけることで変化させる荒々しさがあります。
これはジーンズを履く人が行うべき過程を強引に短縮することで、環境負荷と引き換えに商品としての価値を高めています。
染色だけでもかなり環境負荷が高いことで知られますが、ユーズド加工によってさらに多くの水やエネルギーが消費されています。
品質としてまったく問題のない完成品をわざわざ劣化させて販売するというのは独特の産業だなと思います。
ジーンズが昔よりも履かれなくなったことは環境負荷を減らすことに繋がるのかもしれませんが、1~2年で履けなくなるような生地が出回るのもそれはそれで問題です。
染色しただけのまっさらジーンズはゴワゴワで着心地が悪いですが、生地がしっかりしており緩やな色落ちを楽しみながら長く履くことができます。
ユーズド加工はデニムの耐久性まで削ってしまうので、デニムの特徴である高耐久性にも影響を及ぼしています。
かといって濃紺ジーンズを色がほとんど抜け落ちたライトブルーの状態にまで仕上げるのは数年履き込む程度では無理なので、ユーズド加工に頼らざるを得ません。
染料も昔と比べて色落ちしにくいので人工的に作らなければ難しいのでしょう。
色落ちジーンズを楽しみたければ古着から選んだり、昔着ていたものをリメイクするなど工夫すればもっと健全な循環が生まれそうです。
好みの色やダメージの入ったデニムを手間を掛けず簡単に手に入れたいという人間の欲望が環境負荷を高めているのだとしたら大いに見直すべきでしょう。
最近では環境負荷を抑えた生産方法やリサイクルされたデニムも出回るようになってきたので、デニムだから必ずしも環境に悪いわけではありません。
消費者が何を求めるかで今後のアパレル業界の行く末が決まり、またアパレル業界も持続可能な生産形態へシフトする取り組みが必要です。
環境負荷を突き詰めるとジーンズはなるべく洗わない方が良いですが、洗わな過ぎても汚れや臭いが気になり生地も痛みやすいので適度に洗濯する方が長持ちします。
いかに安いジーンズを作るかという時代は終わり、これからは環境負荷を抑えたジーンズを作りが求められる時代になりました。
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